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脳と砂糖

日々 文字

脳を活性化するために砂糖を!と言う件について。 - daniel-yangのブログ

先日関連トピックが気になって辿り着き、納得がいっていなかった。誠に勝手ながら、一方的な反駁、あるいは補足。

1.「しかし、どう考えても、筋肉の方がエネルギー消費するんじゃねぇの?」

筋肉は普段は脂肪酸を利用して代謝しているので、グルコースをメインで使う脳とは関係ないのでは?しかも安静時に筋肉はクレアチン+ATP→クレアチンリン酸+ADPという反応でクレアチンリン酸(ATPのようなもの)を蓄えているので、たとえ短期の運動でも全てが解糖系によるエネルギーで動いてるわけではない。中長期運動(有酸素運動)も、脂肪酸の利用となるので、糖質を利用するわけではない。

2.「脳がエネルギーを沢山必要とするのだとしても、(中略)難しい問題を解かなくても(ぼんやりしていても)ほとんど同じように脳はエネルギーを消費するのではないか。」「特定の課題を行うのに必要な脳のエネルギーは、何もしていないときの脳活動に使われているエネルギーのたった5%です。」

コレに関してはわからないんだけれど、一応血糖値はコントロールされているので、普段より多く使用されれば、普段に合わせて調整されている血糖値が足りなくなるのは不思議ではないのではないだろうか。脳は全身の60%のグルコースを消費するので、仮に5%増えるとすると63%になり、80〜100mg/dLに保たれている血糖値に影響が出ないとは考えにくい。
あと、「「今日は、沢山お勉強したから、脳に栄養が足りないわ。」と言うことが実際に起こったとしたら、その前に「生命維持に必要なエネルギーが不足してしまった。」と言うことですね。」というのは完全にあり得ず、これは下に書いてある「寒い国の人が、脂質をたっぷり含んだ動物を栄養源にしていたり、(中略)彼らが生きている理由(又は我々の祖先が命をつないできた理由)が説明出来ないのではないか。」に対する反駁にもなるのだけど、そもそも身体には糖新生という機能があって多少糖分を取らなくても血糖値が脳を活動させられないくらいまで下がったりはしないのである。肝臓に貯蔵される血糖値調整用のグリコーゲンも10〜18時間で切れるわけだが10〜18時間断食したところで死なないのはこういう機能があるおかげなので、糖が足りなくなる=すでに死んでいるというのは明らかにおかしい。

3.「脳に必要なエネルギー源がブドウ糖のみ。」「脂質も肝臓でアセチルCoAからケトン体に変換されて、脳関門を通過し、脳細胞のミトコンドリアでエネルギー源として使われます。」

これは脂質やタンパク質は血液脳関門を超えないのでグルコースのみという話になる。ケトン体をエネルギーとして利用できるというのは非常用電源みたいなものなので、これが日常的に起きているわけではない。糖が不足すると、糖からエネルギーが産生できず、脂肪酸を元にエネルギーを産生し始める。この代謝の結果アセチルCoAが出来るが、通常これはTCA回路で処理されるものの途中で必要なオキサロ酢酸が糖不足故に糖新生に回されTCA回路が回らない。仕方なくアセチルCoAはケトン体に変換されるわけだが、そうなるということは糖不足が起きているということ、すなわち糖不足では脳もヤバいので、これをエネルギーとして使えるようになっているというだけの話である。これがずっと起きていると、色々あった後に体液(血液)が酸性になり、危険な状態になる。それと、糖不足になると脳の活動を最低限保つための血糖値を維持するために糖新生をしなければいけないので、筋肉を分解して糖新生をし始める。こうなると筋肉が痩せ細り危険な状態2になる。末期の糖尿病患者でも糖をエネルギーとして利用できないのでどんどん筋肉が痩せ細るということが起きるので、似たような状況と言える。安全なわけがない。

4.「「脳に栄養を!」と言うならば、砂糖は不適切では無いですか?」

スクロースは、小腸壁に存在する消化酵素「サッカラーゼ(インベルターゼ)」によりグルコースとフルクトースに加水分解され(「転化糖」参照)、小腸で吸収されて血流に入る。 この反応は短時間で起こるため、血糖値を急激に上昇させる。」wikipediaより。スクロースグルコースとフルクトースから出来ている。フルクトースは受動輸送で吸収される。バンバン吸収される。さらに、これは解糖系に入れないということは勿論なく、めちゃくちゃ簡単に(グルコースよりも早く)フルクトース-1,6ビスリン酸を経て解糖系に合流することが出来る。同じようにフルクトース-1,6ビスリン酸を経て糖新生に合流しグルコースになることも出来る。なので、多分結構効率が良い。


まとめ

>>1. 「受験勉強などで頭をつかう人には、砂糖がお勧め」と言うのは過ちである。特に、「脳はブドウ糖しかエネルギー源に出来ないから、砂糖を!」とか、「ブドウ糖サプリメントを!」と誘う広告はインチキか、最近の研究成果をお勉強していない不真面目なものです。注意しましょう。

ケトン体の利用は非常時と考えるべきである。グルコースを利用するに越したことはない。


>>2. いわゆる「頭を使う」ために必要なエネルギーは、ぼんやりしているときに必要なエネルギーと大して変わりがない。

確信はないが厳密な濃度コントロールをされている人体で5%はそうそう小さい影響のはずはない。


>>3. 砂糖で栄養を摂ると、効率よくブドウ糖(および果糖)が摂取できるけれど、急激な血糖値の増加があり、身体に悪い。ブドウ糖が欲しければ、ご飯を食べよう。

「受験勉強などで頭をつかう」場合、消化や吸収にエネルギーを使わず効率的に素早く脳を栄養したいはずなので、否定する理由にはならないのでは。ご飯を食べる事自体は素晴らしいが共存出来ないわけではないだろう。

間違っているところがある可能性あり。
以上。